子宮内膜症の患者様へ
~院長先生も子宮内膜症がありました~
子宮内膜症とは
子宮内膜症とはどんな病気なのでしょう。
実はこの病気のイメージがつかみにくい患者さんが多くいらっしゃいます。
医師も病状を患者様に理解してもらうことに苦戦しているようで、セカンドオピニオンが多い病気の一つです。
私自身は患者様に説明するとき「ありえない場所に生理がおきてしまう病気」と伝えています。
本来、生理とは子宮内膜がはがれ落ちて出血が起きることをいいます。それが正常な生理なのですが、子宮内膜症の患者様の場合、子宮とは別の場所にも生理が起きてしまうのです。
それが異常であり、正常ではないから病気なのです。
分かりやすく言うと、例えば肺に毎月生理が起きて、生理のたびに喀血するとします。
まさにありえない場所に生理が起きている状態です。
これがまさに子宮内膜症なのです。
卵巣に生理が起きて、卵巣がまるで腫瘍ができたように大きく腫れている。
これも子宮内膜症です。
とりわけ卵巣に起きた子宮内膜症のことを、卵巣チョコレートのう胞(嚢腫)と呼んでいます。
チョコレートと美味しそうな名前がついていますが、卵巣の中にたまった古い血液が黒ずんで、まるでチョコレート色のように見えることから命名されました。
他には、お腹の壁(腹壁)に生理が発生したり、腸管に生理がおきてみたり(排便痛がする)、とにかくいろんなところに生理が起きます。
それゆえ、ありえない場所に生理が起きる病気と説明しているのです。こんなことが起きているのですから、9割近くの患者さんに生理痛があります。
子宮内膜症の症状
なんといっても生理痛です。
他には生理中に血の塊が出たり、生理以外のときもお腹が痛くなったり、性交痛や排便通などがあります
院長の場合、生理痛は軽かったのですが、子宮内膜症の検査の数値が高かったので、もしやと思っていたところ、子宮筋腫の手術を受けた際、子宮内膜症も見つかりました。
子宮筋腫と子宮内膜症は別の病気ですが、合併しているケースもあります。
子宮内膜症の原因
いろいろ研究されていて所説ありますが、結論から言えば、いまだ原因不明です。
ですから症状を軽快させる薬剤はあるものの、完治させる薬剤はありません。
子宮内膜症は簡単に治ると誤解されている方が多いのですが、閉経するまで長期的な治療が必要になります。
子宮内膜症の治療
子宮内膜症の病変部位や年齢・ライフスタイルによって、患者様ごとに治療の選択肢は異なります。
①なにもしない(定期的に経過観察)
②鎮痛剤で生理痛をやわらげる
③低容量ピルで生理痛をやわらげる
④ピルではないホルモン剤を使う
(ジェノゲスト、レルミナ、リュープロレリン注射など)
⑤手術
子宮内膜症の治療に関しては、絶対にこれが正解というものはありません。
患者様の状況(年齢・独身か既婚か・出産歴があるかないか・どんな症状で困っているのか)を考慮して、その患者様のニーズにあった治療法を選びます。
子宮内膜症の方の将来
子宮内膜症の人は不妊になりやすい(50%の確率)、卵巣がんになりやすい(0.7%の確率)と言われています。不妊の場合は不妊治療が必要です。
治療をしない場合でも、卵巣がんになりやすいリスクがありますので、定期的に卵巣のエコー検査を受けることをお勧めします。